東京カートグラフィック株式会社
  |     Home
 地図の学際 
地図の学際 とは

第6号


1.
特別座談会
「地図太郎」の出現で地図は"生きる力"に


2.  趣味とGIS

3.
コミュニティー・マッピングとして活躍

4.地域づくりを促進するためのツール


5. アドレスマッチングと「地図太郎」
     

アドレスマッチングと「地図太郎」
立正大学 地球環境科学部教授 鈴木厚志

位置を知る
 都市の中でクリーニング店はどのような場所に立地するのだろうか? どんな場所に出店したコンビニエンスストアが繁盛するのだろうか? このような疑問を解く第一歩として、分布図の作製がある。分布図は地図上に事象の位置を示したものにすぎないが、分布の位置や散らばりに着目してみると、私たちにたくさんの考えるヒントを与えてくれる。
 「地図太郎」は、数値地図25000(空間データ基盤)のような空間データや2万5千分の1地形図(地図画像)の読み込みに加え、ESRI社のGISソフトで採用されているShapefile形式データの入出力も可能である。ここではこのような機能を活用し、文字で記述された住所を経緯度値に変換するアドレスマッチング(住所参照)の技法を用いた分布図作製を紹介したい。

分布図を作る
 ここでは、熊谷市における郵便局(2005年)の分布図作製を事例(図@)とする。
 まず、無料電話案内ホームページ(http://104.com/wtel/)内の機関名称と住所をコピーし、Excelのワークシートへ貼り付けてCSVファイル形式で保存する。次に、このファイルを東京大学空間情報科学研究センターのアドレスマッチングホームページ(http://www.tkl.iis.utokyo.ac.jp/~sagara/geocode/)へ送信し、Shapefile形式で返信してもらう。この処理によって住所は経緯度値に変換される。このファイルを「地図太郎」にインポートし、Generateファイル形式に保存しなおし、ドット記号の色と形を選択して描画する。背景地図には国土地理院ホームページ(http://sdf.gsi.go.jp/)よりダウンロードした数値地図25000(空間データ基盤)を用い、行政界・道路・鉄道・メッシュ標高を表示させた。

分布図からわかること
 分布図は私たちにどのような情報をもたらしているのだろうか。作製した郵便局の分布図からは、都市域の中心部・周辺部・縁辺部にくまなく分布し、ユニバーサル・サービスの名の下に展開する郵便局の特性が読みとれる。この分布傾向は、駅前や中心商店街に集中する銀行(図A)や中心商店街の周囲に展開
する信用金庫・労働金庫(図B)とは大きく異なるものである。
 分布図を作るためには一つひとつの事象の位置を正確に地図に示すという根気のいる作業が必要であった。しかし、アドレスマッチングと数値地図の組み合わせにより、分布図作製はより身近なものとなってきた。分布図をとおして地域の姿や事象の性格に思いをめぐらすことは、私たちの好奇心を大いに刺激する。


図@ 熊谷市における郵便局の分布(2005年)

図A 熊谷市における銀行の分布

図B 熊谷市における信用金庫・労働金庫の分布