東京カートグラフィック株式会社
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 地図の学際 
地図の学際 とは

第12号
12号表紙

表紙について

1.20年後、地図はどう変わるだろうか

2.
鳥瞰図で描く絵地図

3.
日本の地図史に残した米国極東陸軍地図局(AMS)の足跡

4.
TCG TOPICS

5.
シリーズ カルトグラムで見る 「近代オリンピックの国別メダル獲得数とGDP」

     

20年後、地図はどう変わるだろうか
PHP総合研究所 代表取締役社長 江口克彦

石垣島講演旅行の思い出

 講演を頼まれて、毎年70回ぐらいは全国に出掛けているのではないだろうか。もう数十年続いているから、北海道から沖縄まで、47都道府県すべての地域に足を踏み入れている。 女満別にも行ったし、石垣島にも行った。

 石垣島には3回ほど出掛けているが、随分と以前のことで、だから、いまは大いに発展変化していると思うが、当時は空港も少し大きな家程度、空港を出たらすぐ右前方の野原に牛が数頭いたのには驚いた。 また、そのうち1回の講演は6月下旬だったと記憶しているが、石垣市でもっとも大きい200人ほど収容できるホールであったが、冷房装置がない。二つの大きな天上扇がからからと回っているだけ。 室温は優に35度を超えていたのではないか。(外気は32度と覚えている)だから、私にとっては猛烈に暑く、文字通り、汗を滝のように流しての講演となった。実際、講演の途中で、頭の中の思考回路が止まって、 なにをどう続けて話をしていいのか、わからなくなるほどであった。

 翌日、私の講演録が地元の新聞の1頁の8割がた割いて掲載されていた。それはいいのだが、同じ頁の左隅に「牛、暴れけが人」というような見出しの記事があって、その内容に、 「この牛は日頃から質(たち)が悪いと評判で…」というくだりには、いかにものんびりした石垣島の雰囲気が感じられて、面白く、随分と長い間その新聞を保管していたことがある。

 それはともかく、それほどに出掛けているのだから、それならば、それぞれの都道府県の名所旧跡、おいしい食べ物など知っているかと言われれば、実はまったく知らない。 なぜなら、いつも空港なり、駅なりに講演主催者側から大抵迎えの人が来てくれているから、そのまま案内されるままに車に乗って会場に着く。終われば、次の予定があるから、直ちに帰ってしまう。 そういう動き方だから、各地に出掛けてはいるが、出掛けているほどに各地を知らない。車の窓から見える、目立つ建物もいくつかは迎えの人に尋ねることもできるが、その当たり一帯がどのようになっているのか、 どちらを向いて走っているのか、その街の、どの辺りを走っているのか、皆目わからない。また、いちいち子どものように次から次に「あれなーに、あれなーに」とも訊けない。 ただ、あれはなんだろうか、あの建物はと思いつつ、過ぎ去る風景を眺めているばかりであった。ときたま地図を持っていくこともあるが、細かい字と現在地を探すのが面倒で、持参してもほとんど広げることはない。 別に講演内容も考えることもないから、時折迎えの人に、「あれはなんですか」などと後部座席から尋ねながら、あとはボンヤリ外を眺めているのが1年ほど前までであった。

地図は有益なグッズ

 しかし、このごろ、私はとてもいいことを考えついた。カーナビである。持ち歩きが可能な、充電式のカーナビが発売されるようになったからである。早速に買い求め、 どこの場所でもカーナビを車の後部座席で見ながら車窓から見える景色、建物、施設を確認している。よほどでない限りたずねなくて済む。どこを走っているのかもわかる。 走っている道路の国道何号線から周辺の施設、建物、近くを走っている鉄道、小学校の名前、はてはコンビニのある場所までわかる。これが実に面白い。カーナビは設定するだけで、あとは見ているだけでいい。 いま、もっぱらカーナビならぬウォークナビを楽しんでいる。

 やがて、地図は紙の地図でなくなるだろう。ディスプレーが紙のように薄く、しかも折りたためるようになるから、広げれば、50cm四方や100cm四方というような地図が出てくるに違いない。 そうするとカーナビだけでなく、ウォークナビも積極的に開発されるだろう。そのウォークナビが、精密になったりすると、細かい路地やお店までインプットされていて、便利でさらに一層楽しいものになる。 またカーナビもウォークナビもいったん購入しても、それが最終の情報というのではなく、自動的につねに新しいコンテンツに変更されるようになる。そうなれば、さらに便利になるのだろう。 ケイタイ(携帯電話)でもこのごろは海外にいくと、自動的に現地時間が表示され、海外使用に変更される。たぶん、カーナビもウォークナビも最新のコンテンツに自動更新されるような時代が来る。

 それだけではなく、地図というハードを持っているだけで、たとえば、海外に行けば、ディスプレーの画面がその国の、その街の地図に変わり、自分の居る場所、 その周辺の地図が自動的に画面に現れてくるようになるにちがいない。それだけではない。音声ガイドも可能になる。セッティングしたコースを歩きながら、イヤホーンから歩いている周辺のガイドや道案内もしてくれる。 海外でも言語モードの切り替えで、日本語でガイドしてくれる。そういう地図が将来必ず作られるようになるだろう。

 地図は、これからますます楽しく、有益なグッズになる。地図というものが20年後、どのように変化していくか、おおいに楽しみである。